あの事件が起こらなければ統一教会の問題がクローズアップされず、世の中は相変わらず何事も無く萬事気嫌良く推移していただろうと思うと背筋がゾッとするし、あの事件を契機に統一教会の悪辣さに世間の耳目が集まり糾弾されるということは一見正義のように思えるけどローンオフェンダーの術中に嵌っているだけだから、それはそれで背筋がゾッとすることで、どちらに転んでもドツボにハマってロクなことは無い。金嬉老事件をモチーフにした「金(キム)の戦争」というTVドラマの中で金嬉老と獄中結婚をした女性のセリフ(脚本・早坂暁)で「金嬉老はこんな事件を起こさずに言論で世の中に訴えれば良かったのではないかと彼を批判する人がいましたが、彼が言論で訴えたところで、誰が彼の言葉に耳を傾けてくれたでしょうか?」といったような趣旨のセリフがありましたが、日本には「社会」が無くて「世間」しかない(©阿部謹也先生)ので、「社会」は言論で変えられるけれど「世間」はセンセーショナルな事件を起こさない限り考えないし、それもしばらく経ったら何事も無かったかのように元の世間に戻っていくだけ。
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