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T R I P
          

●越前海岸 呼鳥門
旅行に出かけるとき、カメラでは
なくスケッチブックとペリカンの
水彩絵の具と6Bのエンピツをカ
バンの隅に忍ばせます。ちょっと
いい風景が目に止まったら、記念
撮影のかわりに記念スケッチ。86
年当時、呼鳥門はまだ自然のまま
でした。今は人工のアーチで補強
され、崩落を防ぎます。でも……
          

●二月堂から大仏殿裏への道
5月の休日、7時に家を出て8時
前に二月堂に着きました。散歩す
る観光客もまばらで、うす緑の木
漏れ日が風に揺れています。この
道は写真家には有名な道で、少し
下ったところから見上げる二月堂
は最も調和のとれた構図になりま
す。近くからお味噌汁の匂いが漂
い、一日が始まります。
          

●潮ノ岬灯台を望む漁港
8月の深夜3時、大阪を出発して
南へ南へ、5時間少しで本州最南
端潮ノ岬です。潮ノ岬灯台から断
崖を真下におり、海岸伝いに少し
歩くと小さな漁港がありました。
ごろっと寝転ぶと、目をつぶって
も夏の太陽がまぶしく照りつけま
す。人影もなく、波の音が脳波を
撹乱し、全てが遠くに……
          

●渥美半島 伊良湖崎灯台
夕日の伊良湖崎が見たくて渥美半
島を一生懸命走ったのに、渋滞に
巻き込まれ、着いたときには薄暮
れの中でした。10月の太陽は思い
がけず早く沈んでしまうのです。
灯台に灯が入るにはまだ早い中途
半端な伊良湖崎。豊橋への帰り道
しっかりと迷ってしまい、やっと
のことでホテルにチェックインし
たとき、9時を過ぎていました。
          

●岐阜県 郡上八幡
敦賀、越前海岸、福井、九頭竜、
白鳥、そしてこの郡上八幡を経て
岐阜、名古屋、名阪国道で大阪と
いうコースが、ちょっと1泊ドラ
イブの定番です。谷あいにこじん
まりたたずむ八幡町は、町の隅々
に用水が流れ、チョロチョロと水
音がします。八幡城から町を眺め
ると、住みたくなってしまう。



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